​掛け替えの儀

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11月16日。
すてきな青空が広がっている。

晩秋から初冬にかけてのうららかな晴天を、歳時記では【小春日和】と呼ぶ。
そんな折、今年も奈良県の三輪大社から新しい杉玉(酒林)が届いた。

杉葉の、目にも鮮やかな青々とした緑。
鼻をくすぐる鮮烈な香り。
時間が経って枯れた風情も味わい深いけれど、やはり新しく作られたものは格別にすがすがしい。

杉玉はそもそも「無事に醸造がすすみ、おいしい酒になりますように」と祈りを込め、杜氏が蔵に杉の枝を吊るした行為を原型とする。


すべての工程が管理できる「蒸留」と違って、発酵という最重要工程が酵母任せになる「醸造」では、作り手の技量とは関係ないところで失敗する可能性をはらんでいた。

故に、こうした祈りの風習は洋の東西を問わず醸造地に存在しており、ドイツのホイリゲ(モミ)、スペイン・マヨルカ島のブロットデピ(マツ)、イタリアのフレスカティ(ブドウ)、そして我が国の杉玉(スギ)と、酒や防腐に関わるボタニカルを使う点も共通している。
※Wikiなどには「吊るした枝の枯れる色と、発酵の進み具合をリンクさせたシンボル」とありますが、後付け設定ではないかと若干怪しんでいます

2021年もあとわずか。

抗ったり抗わなかったり、応援したり盛り上がらなかったりと心揺れる一年だったけれど、この【掛け替えの儀】をもって余韻をすっぱりお清め。

​ニュートラルな気持ちで次の一年を迎えたい。

Special Thanks :

情報の裏取りのため、イタリアの風習についてはSig.ra.Kaoru & Sig.Enzo に、スペインの風習については在日スペイン政府観光局にご協力いただきました。

ここに感謝の意を表します。