コロナウイルスのパンデミックから4年目を迎えようとしています。
これまでの3年間を振り返り、改めて今後の方針を表明させていただきたく。
まず、2020年に決めた基本方針は以下の通りです。
●コロナウイルスの定義●
正誤や是非はひとまず措き、空間管理者として【敵】を具体的に思い描く必要を実感。
当時知り得た情報の整合性と、厄年に脳内出血を罹患した経験から、
【コロナウイルスは、血管そのものにダメージを与える物理現象】
と定義しました。
すなわち、人体の免疫では排除しきれない有害物質であり、いわば【人を介して増殖するアスベスト(ガラス針状結晶)】のイメージです。
また、生物地球化学の観点から【罹患=淘汰の選別】とも捉え、生存戦略として罹患の回避に重きを置きました。
●感染症対策の方針●
人類史において、何度もパンデミックが繰り返されてきたゆえ、
「一時的に物理対応し、やり過ごしたら撤去」ではなく「常設化して、いつか別の感染症が流行しても兼備(対策済)にする」
ことを前提に実行しました。
●具体的な対策●
・マスク着用者のみ店内に案内する
・消毒液の設置/定期的にドアノブを消毒
・ベンチシートの撤去と新設(テーブルの角度を90度変更)
・ベンチテーブルを3面囲いにDIY
・カウンターのアクリルパネルは仮設置ではなく、装置として造作した
・テーブルと椅子を間引き、間隔を空ける
・ウイルス抑制効果付き空気清浄機の導入
・椅子の布地を次亜塩素酸&アルコール対応の制菌ビニールレザーに貼り換え
それから時間が流れた2023年5月。
日本政府はコロナウイルスを5類感染症に引き下げました。
同時にマスク、消毒、パネル設置などの感染症対策義務を解除します。
多くの人々はこれを「解放」と捉えたようですが、自分は「国家の公助→個人の自助への切り替え」と認識。これまで以上の「空間管理者の責任増」を感じました。
とはいえ、オリンピックや物価安でインバウンドが回復し、シンスケにも外国人ゲストが急増。国内外の世論および価値観と、店の感染対策の落しどころを迫られます。
最終的に【安心してノーマスク会食を楽しむためには、防疫意識の異なる層をスクリーニングするしかない】と結論付け、【ドレスコード:入店時のマスク着用】および【ご予約キャンセル数が月に5組ていどまで下がったらドレスコードを解除する】という現ルールを設定しました。
なお、予約表データによると2023年の体調不良によるキャンセルは合計294組。マスク不着用(非所持)で入店を固辞した方は半年で合計224組です。
〇2023年
1月:キャンセル14件
2月:キャンセル21件
3月:キャンセル23件
4月:キャンセル26件
5月:キャンセル17件 固辞41組
6月:キャンセル22件 固辞32組
7月:キャンセル32件 固辞19組
8月:キャンセル24件 固辞14組
9月:キャンセル29件 固辞31組
10月:キャンセル23件 固辞26組
11月:キャンセル31件 固辞33組
12月:キャンセル32件 固辞28組
※店内での集団感染および店舗スタッフの罹患は2024年1/8現在でゼロです
キャンセル数は月平均24.5組、入店お断りは1日平均2組とハイアベレージのままでしたので、けっきょく【今なおマスク着用解除に至らず】という結果になっています。
●2024年の方針●
これまで「100年後のパンデミックへの備え」として対策に取り組んできましたが、2023年秋にはもう次の候補がいくつか生まれつつある状況。また、スーパートコジラミ(殺虫剤耐性南京虫)という別の角度の厄災もせまってきました。
次なる対策をどうすべきか。
シンスケでは今なおマスク着用と消毒を継続しています。柿渋を塗ったDIY造作には強力な各種ウイルス不活性化効果があり、また、制菌ビニールレザーに貼り換えた椅子の座面にトコジラミは生息できません。
つまり当初の基本方針で想定した通り、すでに対策は済んでいると言えましょう。
つきまして、当店での感染症対策は今後も維持します。
また、マスク着用のドレスコード解除条件も同条件で継続する所存です。
〇2024年
1月:キャンセル25件 固辞51件
2月:キャンセル23件 固辞72件
3月:キャンセル21件 固辞57件
4月:キャンセル27件 固辞86件
5月:キャンセル28件 固辞64件
6月:キャンセル36件 ※固辞者が多すぎるのでカウント中止
7月:キャンセル28件
8月:キャンセル23件
9月:キャンセル19件
10月:キャンセル
11月:キャンセル
12月:キャンセル
最後に年明けのご挨拶に代えて。
2024年は波乱の幕開けとなりました。
911、311、そして100年前のシンスケ創業時(関東大震災で本家親族壊滅)がそうだったように、我々は現在また日常を脅かす厄災に心痛め、他人事と自分事のあいだで茫然自失になってしまいがちです。
それでも、だからこそ、【気持ちをゆるめられる時間と空間の存在意義】がより増してきていると自分は考えています。
我が家業は居酒の場、人々の自然治癒力をアシストする商い。
コロナ非常事態宣言時に痛感したのは、すべての商いが「ふだん通りに営業する」ことが「誰かのふだんを作っている」という社会の構成でした。
酒は浮世の憂いを払う慰めのひとつ。
今日というその日を生き抜いた己に誇りと感謝の晩酌を。
そして、活力ある明日を迎えられんことを。
シンスケ4代目 矢部直治