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シンスケ流・酒かすレシピ

毎年この時期になると蔵元から届き、ご来店の皆様におすそ分けしている「酒かす」。

【免疫】【腸活】【脂肪燃焼】【酵素】【美容】【美肌】【美白】と、感染症パンデミックを体験している我々にとって心に刺さりまくる効能に満ちたスーパーフードです。


しかし、酒かすほど「食べ慣れている人」と「まったく縁がない人」に分かれる食材も、他にあまりないかもしれません。


かくいう自分(4代目主人)は正直に言えば苦手です。

※高校修学旅行の朝食時、じゃんけんに負けて班全員ぶんの「わさび漬(ワサビの酒かす和え)」を完食する羽目に。そのうえ、昼食のウナギ屋でもじゃんけんに負けて班全員分の「奈良漬(白瓜の酒かす漬け)」完食義務を負って重度の酒かす恐怖症に


お客様から「酒かすレシピ」を質問された際、これまで「甘酒」「かす汁」「かす漬」と定番レシピをお答えしておりましたが、酒かす未体験者には未知な味すぎてハードルが高い気がします。

そこで、酒かすにトラウマを持つ自分が「これならイケる!」と思ったレシピを初公開。

当店でお配りした酒かすならずとも、使い道に迷ったりした際はぜひご参照くださいませ。


 

①メラニン抑制効果の利用【酒かす入浴】

蔵元の女性たちから「入浴時、酒かすを肌に塗ると血行がよくなり、しかも美白になる」とかつて聞き、改めて調べたところ、たしかにシミやむくみを解消する効果がありました。

※アルコール成分が含まれているため肌の弱い方にはお勧めできません。医療機関で確認するなど安全性にご留意ください


シンスケの提案は、シャワーで下湯したあと、ボディーソープのように適量を身体に塗って、そのまま湯船にイン。体が温まったら湯船内でこすり洗いするやり方。

確かに肌がしっとり滑らかになります。

それと、試して分かったのですが、肩こりや腰痛の場所に多めに塗るとポカポカになっていい感じでした。

まだまだ寒い時節ゆえ、ヒートショック対策をされたうえで、最初は少量、毎日ではなく数日おきなどで様子を見ながらトライいただければ幸いです。


 

②ニオイと油脂の吸着効果の利用【ちょい足し調味料】

酒かすの効果に「肉や魚などの臭みを吸着する力」と「油脂を吸着する力」があります。

近年では、この力を利用したダイエットサプリが登場したほど注目を集めています。


シンスケの提案は、通常の酒かすを使った料理とは発想を逆転させて「臭みと油脂の多い料理の隠し味に使う」こと。

たとえば豚汁。

安い豚コマなどを使うと妙に獣くさかったり、脂がしつこかったりしますよね。

そんな際、お椀1ハイにつき小さじ0.5~1くらいの酒かすを入れると、なんということでしょう!

お味が断然マイルドになり、かつ酒かすの味がしません。←ここ大事


あえてかす汁にチャレンジせずとも、油っ気のある汁ものならなんでも流用可能です。

なので、カレーやラグー、シチューなどに入れてもおいしいのですが、現代人にもっともおすすめしたいのはレトルト食品やカップラーメンへのちょい足し

ケミカル味、レトルト臭を軽減してくれるうえ、酒かすが足りない栄養素(食物繊維やビタミン類)が補ってくると良いことずくめ。

ただし、しょうゆ味、塩味、カップ焼きそばだと酒かすの風味が際立ったり、スープが濁ってしまいます。カレー味、とんこつ味、あぶらそばなど混濁かつベースの味が強いタイプでお試しください。


 

③酒かすの利便性を向上【万能酒かすペースト】

上記のふたつは、酒かすをそのままで使う提案ですが、こちらは伝統的な使い方を試しやすく保存もしやすくするTipsです。


酒かすはよく見ると、薄い板状の酒かすがミルフィーユのように積み重なっています。

これは機械による圧搾絞りの特徴で、日常酒の酒かすはこうやって作られるのがふつうです。他にコロコロとした団子状のタイプがあり、こちらは吟醸酒や特別醸造など「クリアな酒」を絞るための古式絞り(酒槽=船口に重しを乗せて酒を絞り切らない)のもの。

どちらも粘土くらいの硬さがあり、どんな使い方にするにしても、ベタベタで溶きにくいのは確か。


そこでシンスケの提案は、本みりんを適量加えて「酒かすペースト」にするやり方。


お配りした酒かすは1kg入りを1/4にカットして、ジップロックに入れてお渡ししています(250g計算)。青い内袋だけ取り出したら本みりんを75~125㏄入れてジップを閉じ、よく揉めば「万能酒かすペースト」の出来上がり。

※本みりんの代わりに日本酒を使うと、辛口(酒フレーバー強化)に仕上がります


このペーストは、イコール「かす床」です。

なので、市販のぬか漬け野菜(ぬかは洗って水けをふく)、甘塩サケ、みそ漬けの肉(味噌は洗って水けをふく)を半日~2日ほど漬けなおせば「かす漬」が簡単に完成。

②で書いたように油脂をさっぱりさせる効果があるので、豚肉やサーモンハラスなどで試すとベストでしょう。

※野菜用、肉用、魚用でかす床を分けると吉


次に、このペースト適量を鍋に入れ、水としょうがを加えて煮ると甘酒の出来上がり。

砂糖だとくどい甘さになりがちな甘酒も、本みりんなら上品に仕上がります。

ただ、酒かすと本みりんの両方にアルコールが残っているので、未成年者やお酒が苦手な方は一度沸かしてアルコールを飛ばす必要があります。


最後は、とある一人のお客様の発案ですが、非常に興味深いのでご紹介します。

数年前、酒かすをお配りした際、一人の壮年のお客様がこんなことをおっしゃいました。

「いま飲んでる本醸造酒の酒かすなのかあ。・・・じゃあさ、この酒かすをこの酒に溶かしたらドブロクに戻るわけだよね?

原理的にはその通りなのだけど、さすがにその発想は持ちえず。

ご本人は嬉しそうにトライしておられましたが、自分はいまも未体験でございます。


 

〇最後に

調味料として酒かすをとらえた場合、とくに相性がいい素材がいくつかあります。


ひとつは味噌。

とくに麦みそ、白みそ、信州みそなど塩気があまり強くないタイプで、麹や原料の粒が残るものだと美味しさが際立ちます。


次にショウガ。

かす汁でも甘酒でもそうですが、ショウガをちゃんと聞かせるとものすごく美味しいし、体を温める相乗効果があります。


あとは脂の強い食材です。

サーモン、豚肉はもとより、シロコロなどリッチな味のホルモン系にも合う気がします。すくなくとも市販のもつ煮込みにちょい足ししたら、独特の内臓臭がマイルドになりました。



ヤクルト1000や塩麹がそうであったように、いったん習慣化してしまえば無理なく美味しく日常に入れられます。

逆に「健康にいいから!」と無理やり導入するのは逆効果。

絶対に続きません。


自分はいまも酒かすに苦手意識がありますが、豚汁を作るときは必ずショウガと一緒に入れるくらい使う頻度が日常化しています。あと疲労度の高い日の酒かす塗り入浴もマストになりました。

そのくらいでいいんですよ、きっと。


皆さんのふだんに、お気楽な感じで酒かすが溶け込んだらいいなと思いつつ、提案を完了させていただきます。


右がお配りしたジップロックに本みりん100ccを入れて揉んだ酒かすペースト

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