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「酔いどれ卵とワイン」

週刊文春誌の人気連載「この味」(平松洋子さん著)にて、1回の記事では収まりきらず、初の3号連続でご紹介いただくこととなった【木村硝子店×シンスケmeetsしりあがり寿画伯の瓶麦酒コップ】がこのたび単行本に収録されました。


献本に添えられた編集部からの手紙に「平松さんの言葉」があって、それがあまりにも美しく素晴らしい日本語でしたので併せてご紹介します。


「いつもの美味しい楽しさを味わっていただき、かつ、今考えることの余韻を残したい」


当店の記事における【余韻】とは「手吹きガラス技術そのものの存続危機」でした。


手吹きガラスはローマ時代に生まれた人類の叡智ながら、いま地球上から失われようとしています。作り手の技術伝承も要因ですが、なにより「ガラスを溶かす炉そのものを作るメーカーが絶滅進行中」だからです。

※メーカー数は国内ゼロ、世界でもわずか数社を残すのみ


つまり、世界中でも数少なくなった手吹きガラス工場のほとんどが、いまの炉が壊れたら廃業せざるを得ない瀬戸際にまで追い詰められていることを意味します。

※自動車のパーツや薬品・医療用ビーカーなどを作る高性能ガラス炉メーカーのみ存在するが、通常のガラス炉の1/8の生産量ゆえ食器に転用しても採算が取れない。国内だと松徳硝子さんなど数社のみが高性能ガラス炉を導入している


上記は、自分も取材に同行して初めて知った状況です。


シンスケの麦酒コップは、当代の理想を多方面にご迷惑をかけつつも、みなさんの心意気で実現できた奇跡的なプロダクトですが、それでも、あの時やってよかった・・・といま心から思っています。


2022年4月の取材時点でシンスケのコップを吹けるベテラン職人は2人居りましたが、2024年3月には一人しか居ません。次世代が技術を体得できなければ、ガラス炉が修復できないほど壊れてしまったら。

いまある店舗在庫だけのオーパーツとなってしまうことでしょう。


こればかりは、受注者の角度では助力できず、忸怩たる思いを抱くのみ。

だからこそ、お店で、ご家庭で、このコップのガラス越しに「手吹き」という職人の技術に想いを馳せていただけたら幸いです。




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