シンスケの麦酒コップで缶ビールを飲む

瓶ビールを美味しく飲むために開発したこのコップ。
しかしご家庭では、空き瓶のディポジット(酒屋さんの回収)が難しいこともまた事実。
そこで入手しやすい缶ビールをおいしく飲むための注ぎ方について検証しました。

〇瓶ビールと缶ビールの違い

「缶ビールにはアルミの金属味・金属臭がある」と思われがちですが、これは「コップに注がないで、直に缶から飲む」前提による先入観です。実際には缶の内側に特殊なコーティングが施されており、アルミ材とビールがじかに触れることはありません(※ただし口をつけたとき、唇の皮膚センサーが金属を感知する)。
コップに注いで飲むのであれば、ビールの味そのものは瓶も缶も同じです。
ここで申し上げる違いとは【注ぎ口の形状】のこと。

IMG_1562.JPG
缶ビール障壁.jpg

まず瓶ビールの場合。
ボトルが円形なので注ぎ口も円形であり、ビールは首から口まで何も遮るものなくストレートに出てきます。
なので必然的に
、ビールの炭酸が泡立つのは「コップに触れた瞬間」から。

対して缶ビールの場合。
缶の構造上、円周の胴体と天井の注ぎ口のあいだに7ミリくらいの壁(赤い枠の部分)があり、ビールはその凸部をまたいで出てきます。
なので、ビールの炭酸が泡立つのは、
(1)プルトップを引き起こしたとき(開封時の内圧)
(2)注ぎ口の障壁を乗りこえるとき
(3)コップに触れたとき
と3段階もあるのです。

この違いは角度を変えれば、

缶のほうが瓶よりもクリーミーな泡を作りやすい】

とも言えるわけで。

この特性をうまく活かすことが、缶ビールならではのとくべつな美味しさにつながるのだと思います。

〇注ぎ方を工夫する

 

生ビールの場合、専門店は「泡切り(あふれた泡をパレットナイフで切る)」「三度注ぎ(わざと泡立てて注ぎ、数分待って泡が引いたらまたと3回繰り返す)」など注ぐ方法を工夫し、場合によっては「茶こしを通して泡を細かくする」「空気圧でシュワッと泡立てる」など道具を使うこともあります。

今回はご家庭での再現性を考慮して、コップ単品で即試せるやり方にて検証しました。

試飲はコンビニで入手しやすい​キリン 一番搾り、サッポロ 黒ラベル、エビスビール、ハイネケン、サントリー ザ・プレミアム・モルツの5ブランド。4種類の注ぎ方で飲み比べました。

<ヨコ軸>
缶の注ぎ口を「上向き」と「下向き」に変える

このテクニックはもともと、紙パック飲料の「急にどばっと出て周りにこぼれる事故」を防ぐライフハック。
注ぎ口を上側にすることで、一度に出る液体量をコントロールするものです。
今回は、缶からビールが出る時に強く泡立てる目的で試します。


<タテ
コップをぬらす

このテクニックはもともと、常温のビールを美味しく飲むやり方。

炭酸ガスには「温度が低いほど液体に溶け込みやすく、温度が上がるほど液体から気化しやすい(泡立つ)」性質があります。コップに水滴をまとわせることで注いだビールのあたりを弱め、さらに水分の気化熱でコップの温度を下げて泡立ちを抑制するものです。
今回はコップとの衝突で生まれる最初の泡を細かくする目的で試します。

01ノーマル(乾いたコップ×口は下向き)

いわゆる普通の入れ方。缶でも黄7:白3を実現

一番搾り :酸味を強く感じる
黒ラベル :穀物の雑味、舌に苦みがやや残る
エビス  :後味にえぐみを感じる
ハイネケン:甘味を感じるが、後味はケミカル
モルツ  :味も香りもベタ甘な印象

02泡モコ(乾いたコップ×口は上向き)

​泡が細かく、麦の甘さが引き立つ入れ方

一番搾り :麦の香りが立ち、酸味は抑制
黒ラベル :味は01と同じだが、泡がふわふわ
エビス  :後味に甘味を感じる
ハイネケン:フルーティな味と香りで美味い
モルツ  :香りがよく、後味すっきり

03おしめり(濡れたコップ×口は下向き)

麦の香り、甘み、苦みを感じる入れ方

一番搾り :麦の香りと甘みが立って最高!
黒ラベル :バランスがよく、すっきりした味
エビス  :後味に甘さ、苦みの余韻が長い
ハイネケン:角が取れたまろやかさ、ただし、   

      後味に苦みも残る
モルツ  :味も香りもベタ甘な印象

04クリーミー(濡れたコップ×口は上向き)

いちばん泡がきめ細かくてふわふわな入れ方

一番搾り :舌にえぐみが絡みつく感じ
黒ラベル :美味しいが、苦みが際立つ
エビス  :バランスはいいが苦みを感じる
ハイネケン:ケミカルな味が舌に絡む
モルツ  :金属のようなえぐみと香り

〇注ぎ方でビールの味は変わる

味覚は主観に過ぎず、誰しも同じ感想になるとは限りません。

しかし、想定したよりも劇的に【注ぎ方で味が変わる】結果となりました。

ビールには甘み、苦み、酸味、香り、泡立ち(炭酸)と5つの要素があります。

コップに注いだ時、このバランスのどこが強調されるかが味覚に大きく影響するようです。

好みは人それぞれありますが、おおむね「02泡モコ(乾いたコップ×口は上向き)」か「03おしめり(濡れたコップ×口は下向き)」の注ぎ方がおすすめと言えましょう。

最後に、ふと思いついて「05そのまま缶から飲む」方法を2種類の缶ビールで検証してみました。

キリン一番搾り:酸味と雑味が前面に出てメタルな味わい(01に似ている)

エビスビール :麦の苦みを舌先に感じて、後味にべたっとした甘さが残る

これまた、違う味わいとなりました。

暑い夏、アウトドアでごくごく喉を鳴らしながらキンキンに冷えた缶ビールを飲むのは爽快だし、缶飲みのほうが洗い物が少なくてラクけれど、宅飲みで​はやはりコップやグラスに注いだほうが間違いなく美味しい。

みなさまも是非、ご自身にぴったりな飲み方を探されてみては如何でしょうか。