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杉玉のコア/たる酒完売の報

シンスケでは昨シーズンから、江戸時代の告知法【杉玉を吊るす=たる酒入荷のサイン】を実行。そして【たる酒完売=杉玉を外す】ということで、これまで通り湯島天神の「古札納所」に杉玉を運ぼうと思っていたのだけれども。


ふと、それでは感謝が足りない気がして、今回は自分の手で杉玉をばらすことに決めた。


杉玉は、祈り。


醸造酒造りには「発酵」という人知の及ばない工程が入るため、作り手は洋の東西問わず「どうか美味しくできますように」とボタニカルに祈りを託す。


日本酒の場合、初期は杉の枝を麻縄で縛って吊るしていたそうだが、いつしか神社の巫女が祈りを込めて杉の枝を刺す儀式に、そして、球状のアイコンへと変容していった。

※ワインはぶどうの蔓を吊るすそうです


今季は19樽。合計3,800本もの徳利が空いた計算だ。

次のシーズンも、どうかみなさまに美味しく飲んでいただけますように。

かんなぎの心持ちで枝を抜きながら、奈良・三輪山に思いを馳せた。

亭主



<香りの変化>

到着から半年以上が経過しており、表面からは杉の香りはもうまったく漂ってこない。

しかし、外すにつれ、清浄な杉の香りがどんどん色濃くなってきた。

もしかすると杉玉には防虫効果もあるのかもしれない。


<杉の枝の抜きやすさの変化>

杉の枝は固く締まっていて手では抜けず、ラジオペンチで少しづつ引っこ抜いてゆく。

竹で編んだカゴメが見えてくると、すこし枝が緩まり、ブロッコリーのように束で抜くことが容易くなってきた。

すべて外すのに2時間近くかかり、運動量はそれほどでもないはずなのに汗だく。


<竹のカゴメ>

しなやかな竹で編んだ球状のカゴメに、太くかたい節目の竹棒を十字に這わして麻ひもをかける。杉の葉が枯れる前の青杉玉(重量8~10Kg)を吊るしてもゆがまない工夫が凝らされている。






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