瓶麦酒のコップを開発したキッカケ
各ビールメーカーが競うように新製品を投入し、直営ビアホールで生ビールにも力を入れ始めた1980~1990年代。
のちに「ビール戦争」と呼ばれたあの時代、昔ながらの定番瓶ビール&日本酒だけを扱うシンスケでは、お客様からお𠮟りをいただくことが増えていた。
「ドライの生ふたつね。え、ないの? トレンディさに欠ける店だなあ。仕方ないから瓶ビールでいいや(でいいや、でいいや、とエコー)」
この言葉はお客様の素直な感想であり、マーケティングの上でも的を得たものではあったけれど、自分は「瓶ビールの否定」と心を痛め、謎の義憤に駆られて勝手にリベンジ(復権)を誓った。
生ビールは確かに美味しい。
見た目も爽快だ。
では、瓶ビールならではの魅力とは何か?
比較検証の結果、
(1)抜栓の「シュポッ!」という音こそ瓶ビールの象徴
(2)メーカー販促のビアジョッキ・ビアグラスは破損防止のため吞み口が厚ぼったい
の2点に改善の余地を見出しました。
(1)は1997年ごろから『音出し』にトライし始め、2001年のイチロー選手大リーグ挑戦をヒントに基礎フォームを確立。幾多のケガ(ビール瓶の首ごと割り折って裂傷、王冠のギザギザで擦過傷、肩の筋肉を断裂)を乗り越え、2021年ついに抜栓術【麦の呼吸】として完成させました。余談になりますが、現在はさらに音をよくするため中国拳法【発勁】の身体操作を研究しております。
また、快音抜栓術を世に広めるため、絶滅危惧ツールになりつつある栓抜きを保護するため、【誰でもいい音で抜ける栓抜き】開発にも着手しています。乞うご期待(白目)
そして(2)を追求した結論がこの瓶麦酒コップなのです。
新型 抜栓術「麦の呼吸」
(肘を曲げて肩の負担減)
シンスケmeets木村硝子店
ぼんやりとしたイメージはありながらも、具体的には捉え切れていない理想のコップ像。
そこで、まずベースとなるコップを探すことにしました。
国内外の食器店をひたすら回り、飲食店に行けば必ず「コップにお水をお願いします」と注文してコップを拝見。
青山スパイラルマーケットで理想に近いコップを見つけた時は、探し始めてから13年が経っていました。
ようやく見つけたそのコップこそ、木村硝子店さんのカタログ非掲載別注品だったのです。
余談になりますが、青山スパイラルビルのロゴをデザインされたのは、シンスケの店舗デザインを手がけた仲條正義さん。
そして、木村硝子店さんはなんと同じ路地(!)に面した地元・湯島の企業という偶然。
童話『青い鳥』ではないけれど、ご縁の不思議さを思います。
しかし、木村硝子店さんはあくまでグラスデザイナーであり、飲食店舗の特注はされておらず。
どうしたものかと思案していた矢先、たまたま京都の取引先と一緒にトップがご来店。
千載一遇とばかりに直談判したところ、土地っ子のよしみで特別にご助言とグラス工場への橋渡しを賜わる運びとなりました。